2004 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ空間を用いた新規スピンクロスオーバー錯体の配列制御と機能開拓
Project/Area Number |
04J10944
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
藤ヶ谷 剛彦 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Spin Crossover / Dendrimer / Phase Transition / Cooperativity / Self- assemble |
Research Abstract |
スピンクロスオーバー錯体においては2つのスピン状態を加熱、加圧、光照射などの様々な刺激に応答させて変換させることが可能であり、さらに2つの状態においては色、磁化率、体積など様々な変化を伴うことからメモリーやスイッチング材料としての応用が期待されている。 本研究では、スピンクロスオーバー鉄トリアゾール一次元高分子錯体についてソフトマテリルの融合と機能開拓について検討した。 申請者は、まず長鎖アルキル鎖を有するトリアゾール配位子と鉄の錯体において集積したアルキル鎖の相転移によってスピン状態を制御すると言う興味深いアプローチを実現させた。配位子に導入したアルキル鎖の結晶状態は低スピン配位空間を安定化させ、転移温度を高温部まで安定化させた。さらにアルキル鎖集積体の結晶-溶融相転移はアルキル鎖の長さにより異なるために鎖長を替えることで転移温度を制御することに成功した。 一方、配位子間の効率的な相互作用により協同効果が発現するとスピン転移はドミノ効果により効率的に起こり、光誘起スピン転移に対しては素早い応答を、熱的スピンクロスオーバーに対しては狭い温度で転移が完結することが知られている。この理想的なスイッチングを実現させるため分子間の大きな重なりにより効率的な相互作用が期待できるデンドリマーを導入したデンドリマー鉄トリアゾール錯体を合成した。その結果、適度な広がりを有し、一次元錯体の外周部に密に集積する第一世代デンドロンを導入した錯体において急峻な熱的スピンクロスオーバー、つまり高い協同効果が認められた。 以上、本研究はスピンクロスオーバー錯体においてスピン状態をソフトマテリアルにより集積した秩序構造により制御するという全く新しい方法論を構築しスピンクロスオーバー材料の発展に大きく寄与するものであったと言えよう。
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Research Products
(2 results)