2004 Fiscal Year Annual Research Report
新規亜鉛イオン応答性MRI用イメージングプローブの開発と応用
Project/Area Number |
04J10959
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
花岡 健二郎 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ランタノイド / MRI / 亜鉛イオン / ガドリニウム / ユウロピウム |
Research Abstract |
これまでに開発した亜鉛イオン(Zn^<2+>)をターゲットとした機能性MRI造影剤を実験動物であるラットに投与し、その体内動態やラットの行動変化を調べた。具体的には、Zn^<2+>が多く存在する脳の海馬に、この機能性MRI造影剤が分布するか否かを調べた。これまでの我々の研究室の基礎研究において、Zn^<2+>が海馬での「虚血」や「記憶と学習」に関与することを明らかにしている。海馬への分布を調べた結果、このMRI造影剤はBlood Brain Barrier (BBB)を通過せず、海馬への分布は観察されなかった。現在、有機化学に基づきこの造影剤に修飾を加えることや生理化学的手法によって、このMRI造影剤を海馬に分布させる方法を、さらには、目的組織の細胞に導入する方法を検討している。 また同時に、生細胞を用いて、MRI造影剤のようなランタノイド金属イオン錯体が細胞内において、細胞毒性を示さずに化合物として安定してZn^<2+>を捉えることができるか否かを調べた。具体的には、MRI造影剤は中心金属がガドリニウムイオン(Gd^<3+>)である金属イオン錯体であるが、この中心金属をイオン半径としてGd^<3+>に近く、強い蛍光を発するユウロピウムイオン(Eu^<3+>)に置換することで、独自にZn^<2+>を特異的に認識して強い蛍光を発するZn^<2+>応答性Eu^<3+>錯体分子をデザイン・合成した。このEu^<3+>錯体分子を生細胞にマイクロインジェクションし、細胞内Zn^<2+>濃度変化を蛍光顕微鏡で調べた。その結果、細胞への毒性を示すことなく錯体分子として安定して、細胞内Zn^<2+>の濃度変化を可視化することに成功した。この実験については、Journal of the American Chemical Society (2004)に論文として発表した。
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Research Products
(1 results)