2004 Fiscal Year Annual Research Report
アジリジン形成反応を利用したヒストリオニコトキシンの不斉全合成研究
Project/Area Number |
04J10962
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡邊 学 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 全合成 / ヒストリオニコトキシン / アザスピロ環化合物 / アセチルコリン受容体 / アジリジン / エンイン構造 |
Research Abstract |
ヒストリオニコトキシン(HTX)は南米に棲息する矢毒ガエルの皮膚から抽出され、ニコチン性アセチルコリン受容体を非競合的に阻害するアルカロイドである。アザスピロ骨格や側鎖のエンイン蔀位など小分子ながら興味深い構造を有しており、HTXの効率的かつ高立体選択的な全合成を目指し本研究に着手した。 本年度はアジリジンの立体選択的構築、続く開環反応を鍵として、基本骨格であるスピロ環の構築を行った。3エトキシシクロヘキセノンより6工程で側鎖を有するシクロヘキセノールへと導いた。この基質に対して鍵反応であるシスヒドロキシアジリジン形成反応の検討を行った。その結果、N-アミノキナゾロンおよびヨードベンゼンジアセテートによって、シス体のヒドロキシアジリジンを立体選択的に得ることができた。続いてBirch還元によってN-N結合の切断を行ったのちに、ρ-トルエンスルホンアミドに変換し活性アジリジンとした。この基質に対して、シアン化物イオンを用いて、アジリジンの開環反応を行い、側鎖構築の足がかりとなるシアノ基を導入した。続いて酸で処理するとスルホンアミドとアセタール部での分子内環化反応が進行し、HTXの基本骨格であるアザスピロ骨格を有するエナミンへ収率良く変換できた。続いて、ルイス酸存在下アリルシランを作用させると高い選択性でHTXの2位側鎖を導入できた。以上のように、短工程でHTXの基本骨格であるアザスピロ骨格を構築することができたので、来年度は側鎖であるエンイン部を構築し全合成に向けて検討を行う予定である。
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