2005 Fiscal Year Annual Research Report
アジリジン形成反応を利用したヒストリオニコトキシンの不斉全合成研究
Project/Area Number |
04J10962
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡邊 学 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 全合成 / ヒストリオニコトキシン / アザスピロ環化合物 / ヤドクガエル / Robinson環化反応 / Curtius転位反応 / ジアゼン / エンイン構造 |
Research Abstract |
ヒストリオニコトキシン(HTX)は南米に棲息するヤドクガエルの皮膚から抽出され、ニコチン性アセチルコリン受容体を非競合的に阻害するアルカロイドである。アザスピロウンデカン骨格や側鎖のエンイン部位などの特異な構造に興味を持ち、HTXの効率的かつ高立体選択的な全合成を目指し本研究に着手した。 本年度はデカリン環の特性を利用してHTXの基本骨格を立体選択的に構築した。まず、メチルビニルケトンと2-エトキシカルボニルシクロヘキサノンとのRobinson環化反応によって二環性のエノンとした。次に、数工程で導けるカルボン酸からCurtius転位反応によって、立体的に込んだ四級炭素に結合した窒素官能基を導入した。続いて、得られたデカリン誘導体のメチルカーバメートと同じ面からエポキシ化反応を立体選択的に行い、酸素官能基を導入した。さらにヒドラゾンの還元とジアゼンのシグマトロピー反応によって、3連続不斉中心の制御を行った。ここから二重結合の切断や増反反応を行って、HTXの基本骨格であるアザスピロ骨格を有するエナミンへ収率良く変換できた。 続いて、得られたスピロ環化合物のエナミン部分を足がかりとして、側鎖の導入を行った。エナミンに対して、プロパルギル化反応を行った後に、ヨウ化ビニルを経て、薗頭反応によって側鎖であるエンイン部分の構築を完了した。NOE相関の結果より、2位の側鎖の立体化学が望みとは逆であることが分かったが、HTXのすべての炭素骨格を導入した化合物を合成する効率的な経路を確立することができた。
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