2004 Fiscal Year Annual Research Report
単細胞接合藻ミカヅキモの性フェロモンとその受容体を指標とした種分化機構の解析
Project/Area Number |
04J10982
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
土金 勇樹 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 性フェロモン / ミカヅキモ / 生殖隔離 / 種分化 |
Research Abstract |
単細胞接合藻ミカヅキモ(Closterium peracerosum-strigosum-littorale complex : C. pslc)には、+型、-型と呼ばれる性が存在する。これまでの研究により、-型から放出される性フェロモンであるPR-IP inducerに少なくとも3種類(PR-IP産生誘導、有性分裂誘導、多糖放出促進)の活性が存在する事が明らかになり、この性フェロモンが有性生殖過程において非常に重要な役割を持つ事が示唆された。 一方、ミカヅキモには生殖的に隔離された個体群が存在する事が知られており、PR-IP indcuerはそれら個体群に作用しないことから、性フェロモン、あるいはその受容体の一次構造変化に伴い生殖隔離が行われ、現在の種に分化してきたことが考えられた。そこで、C. pslcにおいて、この性フェロモンが生殖隔離の原因因子であることを想定し、完全な生殖隔離が行われている個体群、不完全ながら生殖隔離が行われている個体群などを用いて、ミカヅキモの生殖隔離の分子基盤を解明し、この性フェロモンがミカヅキモの種分化と多様性に果たす役割について考察を行った。現在までの結果は以下の通りである。 C. pslcにおいて、SSU rDNA上の1506 group I intron領域を用いてその系統関係を明らかにしたところ、生殖的に隔離された個体群ごとにクレードが分かれた。また、それぞれの個体群から性フェロモンのクローニングを行い、そのオーソログを単離した。得られた性フェロモンの配列は個体群ごとに異なっていたものの、系統上の関係が近く、生殖隔離が完全ではない個体群同士では、その性フェロモンの相同性は比較的高いことが明らかとなった。更に、系統間の関係は近いものの、性表現が異なるホモタリック株ではその性フェロモンの相同性は低いことが示された。
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