2005 Fiscal Year Annual Research Report
ゼブラフィッシュ松果体の光受容細胞に特異的な転写調節機構
Project/Area Number |
04J10988
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浅岡 洋一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 松果体 / エクソロドプシン / PIPE / 核内レセプター / yeast one hybrid法 / ゼブラフィッシュ / 網膜 / ロドプシン |
Research Abstract |
ゼブラフィッシュ松果体に特異的な遺伝子発現メカニズムの解明を目指し、PIPEに対して特異的に結合する転写因子の同定を試みた。酵母のワンハイブリッド解析系を用い、ゼブラフィッシュcDNAライブラリーからPIPE結合因子を探索した結果、再現性のある陽性シグナルを示す2つのクローン(以下、クローン名w89およびw141として記述)を得ることができた。両クローンのコード領域全長の塩基配列を決定したところ、w89とw141がコードするタンパク質のアミノ酸配列は核内レセプターファミリーに属するRev-erbとRORに、それぞれ最も高い一致度を示した。RT-PCR法によりw89とw141のmRNA発現パターンを解析した結果、両遺伝子は共に成魚の松果体において発現していることが確認された。また、ホールマウントin situハイブリダイゼーション法によりゼブラフィッシュ胚におけるw89の発現様式を詳細に解析した結果、松果体を含む脳神経部位においてw89 mRNAの発現が認められた。興味深いことに、w89のmRNA発現量は夜の後半の時間帯にピークをもつ日内変動を示した。exorhのmRNA発現量は昼の前半において最も低いことから、w89がPIPEを介してexorhの発現を負に制御している可能性が考えられた。この可能性を検証するために、PIPEの制御下で松果体にEGFP遺伝子を発現するトランスジェニック胚に対し、モルフォリノによるw89の機能阻害を試みた。現在、予備実験の段階ではあるが、モルフォリノを導入した胚の松果体においてレポーター遺伝子の発現上昇が観察された。以上の結果から、w89はexorhの転写抑制因子として機能する可能性が示唆された。本研究の成果は、脊椎動物の光受容組織の多様性を生み出す機構に迫る上で、重要な知見をもたらすと考えられる。
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