2004 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエ視覚中枢をモデルとした脳形成分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
04J10997
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
梅津 大輝 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 視覚中枢 / RNA干渉 / ショウジョウバエ |
Research Abstract |
視神経の投射標的であるlamina前駆細胞に特異的な発現を示すGAL4エンハンサートラップ系統を利用し、RNA干渉によるスクリーニングを行った。任意の遺伝子に対する逆向き反復配列をGAL4依存的に発現する系統を利用する事により、これまでに277遺伝子に対するスクリーニングを行った。実際にはシグナル伝達等に関連の深いドメインやホモロジーを持つような新規あるいは機能未知の遺伝子を選び出すことで効率よくスクリーニングを行った。その結果、なんらかの視神経の投射異常を示す変異体が81系統得られた。中でもCG3403、CG4532、CG5604、CG5828、TBPHに対するRNA干渉では重度の投射異常を示す表現型が観察された。そこで、これらの遺伝子についてin situハイブリダーゼーション法により発現パターンを調べたところ、いずれの遺伝子も視覚中枢領域を含む脳全体において一様に発現していることが明らかとなった。ショウジョウバエデータベース上の検索からトランスポゾンP因子の挿入が遺伝子の5'側のすぐ上流にあることが判明したCG5828遺伝子に関しては、そのP因子挿入系統を利用してP因子の不正確な切り出しによりCG5828のみを欠失した変異体の作成を試みた。その結果、4系統の欠失変異体を得ることが出来た。いずれの系統も予想される転写開始点のおよそ500塩基対上流から開始コドンの下流少なくとも600塩基対下流を欠失していることが確認された。アミノ酸コード領域全て欠失している系統も得られた。しかしながら、いずれの系統も変異をホモに持つ個体でも生存可能で、視覚中枢の発生に異常は観察されなかった。したがって、この遺伝子は視覚中枢の発生に必須のものではないことが考えられる。また、in situハイブリダイゼーションにより発現パターンを確認した他の4つの遺伝子については現在解析中である。
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