2005 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエ視覚中枢をモデルとした脳形成分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
04J10997
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
梅津 大輝 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 視覚中枢 / ショウジョウバエ / Hedgehog / Single-minded / lamina |
Research Abstract |
ショウジョウバエ視覚中枢の形成をモデルとして、中枢神経発生に必須な神経細胞間の相互作用について解析した。ショウジョウバエの複眼は約750個の個眼からなり、各々の個眼は空間的な配置を反映しつつ視覚中枢の最も表層に位置するlamina神経節へ投射する。Laminaの発生過程では各個眼から伸長した視神経軸索(R axon)が5つのlamina神経細胞を一列に従えたlamina columnと呼ばれる特徴的な構造を形成する。また、lamina神経細胞の増殖と分化にはR axonから供与されるHedgehog(Hh)が必要であり、R axonの投射依存的に発生が進むことが知られる。本研究では、モザイク解析により任意の遺伝子機能を欠失した細胞を作出し、lamina形成における細胞の挙動を詳細に解析した。Hhシグナル伝達系の必須因子であるsmoの機能欠失細胞はlamina columnに取り込まれないことから、Hhシグナルがlamina column形成に必須であることが示された。また、bHLH-PAS型の転写因子、Single-minded(Sim)はlamina神経細胞特異的に発現し、その発現はHhシグナルによって制御されていた。sim機能欠失細胞はsmo機能欠失細胞と同様の挙動を示し、sim変異体の脳ではlaminaは正常に形成されない。このことからsimはlamina column形成に必須の因子であることが示唆された。さらに、simの機能欠失はlamina神経細胞の分化マーカーの発現及び増殖には影響しないため、lamina columnへの移行に特異的に機能することが考えられる。以上から、laminaの形成にはR axonとlamina神経細胞間の相方向的な作用が協調的に働くことが必要であり、その過程でlamina神経細胞側に必須の因子としてsimが特異的な機能を担うことが示された。
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[Journal Article] DPP signaling controls development of the lamina glia required for retinal axon targeting in the visual system of Drosophila2005
Author(s)
Yoshida, S., Soustelle, L., Giangrande, A., Umetsu, D., Murakami, S., Yasugi, T., Awasaki, T., Ito, K., Sato, M., Tbata, T.
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Journal Title
Development 132
Pages: 4587-4598