2004 Fiscal Year Annual Research Report
線虫WASPファミリー蛋白質及びArp2/3複合体の形態形成期における機能解析
Project/Area Number |
04J11012
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
澤 真理子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | アクチン細胞骨格 / 形態形成 / 線虫 |
Research Abstract |
まず、線虫WASPファミリー蛋白質のなかでこれまで機能が明らかになっていなかったWVE-1の機能解析を行った。RNAiに対する感受性の高まっている株を用いRNAiを行ったところ、線虫WVE-1が形態形成を担うVentral enclosure期に表皮細胞の移動に関与していることを新たに見出した。この機能は先に見出した線虫Arp2/3複合体及びWSP-1の機能と合致するものであった。このことは個体レベルで初めて同じ現象にWASPとWAVEが機能していることを示した。さらに抗WVE-1抗体を作成し、WVE-1の局在を解析した。その結果、WVE-1はventral enclosure期に移動していく表皮細胞の伸長端部分にも存在することが明らかになった。さらに、哺乳類及びショウジョウバエでWAVEの安定性に関わることが明らかにされている因子Abiの線虫における相同遺伝子の機能解析を行った。線虫Abiに対してRNAiによる機能破壊実験を行ったところ、ventral enclosure期の表皮細胞の移動が阻害されるという表現形が観察された。これまでにAbiと共にWAVEの安定化に関わることが示されている哺乳類Sra-1及びNap1の線虫における相同遺伝子gex-2,gex-3はventral enclosure期の表皮細胞の移動に関わることが示されていた。そこでAbi,gex-2及びgex-3のRNAiを行った個体における線虫WVE-1の蛋白質発現量をwestern blotting法により検証した。その結果、Abiに対するRNAiではWVE-1蛋白質発現量は約50%減少していた。又gex-2、gex-3に対するRNAiを行った個体では約90%の蛋白質量の減少が認められた。このことから、線虫WVE-1の安定性がAbi,gex-2,gex-3により制御されていることを明らかにした。
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