2004 Fiscal Year Annual Research Report
嗅覚受容体遺伝子の発現制御と嗅神経細胞の軸索投射機構の解明
Project/Area Number |
04J11032
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮道 和成 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 嗅覚 / 嗅上皮 / 嗅覚受容 / 嗅球 / 匂い地図 / in situ hybridization / トランスジェニックマウス / ゾーン |
Research Abstract |
マウスの嗅覚系では、1200種類以上の嗅覚受容体(odorant receptor ; OR)遺伝子が40以上のクラスターをなし、ほぼ全ての染色体に分布している。各々の嗅神経細胞は一種類のOR遺伝子のみを発現し、また同種のOR分子を発現する嗅神経細胞は嗅球において特定の投射先(糸球)に軸索を収斂させる。従って、嗅上皮で受容された匂い情報は、嗅球において活性化された糸球の位置情報(匂い地図)へと変換される。各OR遺伝子の発現は、嗅上皮において一部の領域に限定されることが知られており、このOR遺伝子の領域特異的な発現が匂い地図を形成する基盤の一つであると考えられる。本年度の研究では、100種類以上の異なるOR遺伝子の発現領域をin situ hybridization法によって解析した。各OR遺伝子の発現領域はそれぞれユニークで、嗅上皮の背内側から腹外側にかけて重なり合いながら連続的に配置されていることが判明した。従来、OR遺伝子の嗅上皮における発現領域は4つの異なるゾーンに分類できると考えられてきた。今回の発見はこの定説を覆す成果である。また、嗅球から嗅上皮へのDiI逆行輸送実験、及びトランスジェニックマウスの解析結果から、嗅球における糸球の腹背軸上の配置が、嗅上皮における嗅覚受容体の発現領域と強く相関することが明らかになった。この結果から、嗅球における匂い地図の腹背軸はOR遺伝子の発現領域によって決められていることを提唱した。
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Research Products
(5 results)