2004 Fiscal Year Annual Research Report
花成誘導における植物のリアルタイム解析-無機元素から見た植物の生理活動
Project/Area Number |
04J11053
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 奈通子 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 花成誘導 / マグネシウム / カルシウム / アサガオ |
Research Abstract |
無機元素については、マグネシウムおよびカルシウムに着目し、染色および元素マッピングを併用した組織内分布解析を試みた。特に染色実験においては、花成を誘導する短日処理の前後に加え、花成刺激物質が茎頂に到達する時間帯まで経時的に分析した。また、短日処理中に光中断を施すことによって花成を抑制した場合も分析対象に加え、花成と無機元素の分布の関連性を検討した。 マグネシウムの分布については、蛍光染色試薬Mag-fluo-4,AMとFluo-3,AMの染色差異として捉えた。染色の結果、マグネシウムは茎頂の中央に存在する数個の細胞に高濃度に集積する可能性が示された。さらに、花成刺激物質が茎頂に到達する時間帯にはこのような集積傾向が失われていた。また、光中断を施した場合には集積が見られたことから、マグネシウムの集積と、茎頂における成長段階の移行(栄養成長から生殖成長へ)の関連性が示唆された(論文投稿予定)。 花成誘導中に見られる無機元素の分布の変化が持つ具体的な役割を考察するため、茎頂内の細胞特性を確認することを試みた。マグネシウムの集積が見られた茎頂中央の細胞群はShoot Apical Meristemにあたると予想し、この組織のマーカーとなる複数の遺伝子をシロイヌナズナのオーソログとして単離した。現在、これらの遺伝子の発現解析を行っている。 RI核種を用いた実験については、全ての無機元素の吸収と深く関連すると予想される、植物根による給水のリズムと花成との関連を検討すべく、準備を行った。15-Oを用いて水をラベルし、植物PETを用いた場合、定量性に問題があることが判明したため、2組のBGOプローブを用いる実験系の採用を検討している。
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