2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J11068
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
小竹 朱 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | Anguilla japonica / 回遊 / 耳石 / Sr / Ca / 成長 |
Research Abstract |
ウナギ属魚類の生態に関する研究は多い。しかし、その大部分はシラスウナギと黄ウナギの発育段階を対象としており、海水域で採集される産卵回遊中の銀ウナギの生態に関する研究は極めて少ない。近年北海と東シナ海で採集された銀ウナギの回遊行動に関する研究がなされ、河川に遡上せず、一生を海で過ごす「海ウナギ」の存在することが明らかとなった。その後、申請者らの研究により、海ウナギの出現割合は北方ほど高いこと、また雌は雄に比べて海ウナギや河口ウナギとして、海や河口に残留しやすいことなどが分かってきた。しかしながら、なぜこのような回遊行動における緯度クラインや性差が生じるのかは全く明らかとなっていない。こうしたウナギにおける回遊履歴の多型現象は本種の資源管理と保全を考える上で重要な示唆を与える。 そこで本研究では、以下の2点を目的とした。 1.日本国内の5地点(天草、三河、利根川、三陸、青森)の沿岸域から採集した銀ウナギの回遊履歴を解析し、生物学的特性、生理学的特性および環境情報を調べる。これにより、回遊行動の緯度クラインの存在を再確認すると共に緯度クラインの生じる要因を特定する。 2.回遊履歴の異なる海ウナギ、河口ウナギ、川ウナギについて分子遺伝学的アプローチを行い、各グループに生理学的な際があるか否か、集団への分化があるか否かを検討する。これに基づいて各グループへの分化メカニズムを明らかにする。 今年度は日本各地4地点の沿岸域から採集した銀ウナギの回遊履歴を解析し、生物学的特性、環境情報を調べた。その結果、全体の42%が海ウナギであり、河口ウナギは41%出現した。これまで殆どのウナギは河川で一生を過ごす川ウナギであると考えられていたが、川ウナギの出現は17%に過ぎなかった。
|
Research Products
(1 results)