2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J11092
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹下 典男 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | キチン合成酵素 / アクチン / ミオシン / Aspergillus / 隔壁 |
Research Abstract |
糸状菌の先端生長には、細胞壁キチンの極性的な合成が必須であり、アクチン細胞骨格は菌糸の極性を決定するうえで重要な役割を担っている。Aspergillus nidulansには、N末端側にミオシンと相同性があるドメイン(ミオシン様ドメイン)を持つキチン合成酵素をコードするcsmA、csmBの二種類の遺伝子が存在する。このタイプのキチン合成酵素のオルソログは、糸状菌または菌糸状に生育する菌からのみ単離されており、酵母には存在しないことから、これらが菌糸型の形態形成に特有の機能を持つことが予想される。 これまでに、CsmAが菌糸先端や隔壁形成部位のアクチン近傍に集中して局在化することを示し、そのミオシン様ドメインがアクチンと結合することをin vivo、in vitroで示した。 今年度、更に解析を進め、部位特異的変異株の作製により、CsmAの正常な局在化と機能にはミオシン様ドメインとアクチンとの結合が重要であることを示唆した。 次に、CsmBの機能、CsmAとCsmBの機能の関わりについての解析を行い、以下の結果得た。 ・csmB破壊株がバルーン構造、菌糸内菌糸といったcsmA破壊株と類似の表現型を示し、また、csmA破壊株では見られない菌糸の途中での溶菌を示した。 ・csmAとcsmBの二重破壊が合成致死性を示すことを示唆した。 ・csmAをalcAプロモーター下で発現しcsmBが破壊された株を作製し、csmAの発現を抑制する条件で生育させたところ、バルーン構造、菌糸内菌糸、菌糸の途中での溶菌の他に、各単独破壊株では見られない、生育速度の著しい遅れ、菌糸先端の形態異常が見られた。逆に、csmAを高発現する条件で生育させても、バルーン構造が頻繁に見られ、csmBの破壊による形態の異常を抑圧できないことが示された。 ・csmAとcsmBはプロモーター領域を共有するように染色体上に位置しており、どちらも低浸透圧条件下でmRNA量が多く見られた。
|