2004 Fiscal Year Annual Research Report
冷凍食品の非破壊品質計測・感性変換モデルに基づく冷解凍操作最適化システムの開発
Project/Area Number |
04J11108
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
上野 茂昭 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ゼラチン / ゲル / 氷結晶 / マイクロスライサ画像処理システム / 誘電スペクトル / 数値解析 |
Research Abstract |
本研究では、先ず種々の冷却速度で凍結したゼラチンゲルと寒天ゲルを試料とし、凍結試料内に形成される氷結晶構造を、マイクロスライサ画像処理システムにより氷結晶性状を示すパラメータとして等価円直径、粒界線密度および数密度を定量的に計測し、凍結条件と3次元的氷結晶形態の関係を明らかにした。 次に氷結晶性状の異なる試料に対して誘電スペクトルを測定し、デバイ型緩和モデル式に導電率を考慮したモデル式のパラメータである、緩和時間、直流成分の導電率および有効誘電率を調べた。その結果、直流成分の導電率および有効誘電率は、氷結晶等価円直径が増大するほど減少し、氷結晶粒界線密度および数密度が増大するほど増大することが明らかとなった。ただし、直流成分の導電率は、氷結晶サイズが小さくならないと、その差が顕在化しない傾向が明らかとなった。一方、有効誘電率は氷結晶構造の差異に比較的敏感であり、氷結晶サイズが大きい場合でも比誘電率で10〜20程度も差があり、構造の違いが検出できることが明らかになった。 誘電特性の計測を理論的に検証するために、氷結晶断面画像および実際の氷結晶を単純化したモデルに静電場の数値解析を適用し静電容量および有効誘電率を算出した。静電場の数値解析の結果、氷結晶等価円直径が小さいほど、有効誘電率が大きな値を示すことが確認された。また、有効誘電率は、氷結晶の粒界と電場のなす角度の影響を強く受けていることが明らかとなった。 以上のように、誘電特性の実測値および数値解析結果から、氷結晶サイズが小さいほど有効誘電率は大きくなることが明らかとなり、マイクロスライサ画像処理システムによる氷結晶画像解析およびインピーダンスメータによる誘電特性の計測とその静電場の数値解析により、凍結試料内に形成される氷結晶性状を非破壊的に計測できる可能性を示した。
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Research Products
(2 results)