2005 Fiscal Year Annual Research Report
犬におけるワクチン接種後アレルギー反応に関する研究
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04J11119
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大森 啓太郎 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 犬 / ワクチン / アレルギー / IgE / 牛胎子血清 / 牛血清アルブミン |
Research Abstract |
これまでの研究により、犬におけるワクチン接種後アレルギー反応の原因アレルゲンは、ワクチン中に含まれる牛胎子血清(FCS)であることが明らかとなっている。本年度は、FCS中においてアレルゲンとなり得るタンパク質成分を解析した。 【方法】ワクチン接種後にアレルギー反応を起こし、ワクチンおよびFCSに対するIgE抗体を有する16頭の犬の血清を用いた。ワクチンおよびFCSに対するIgE抗体はELISA法により検出し、次いでこれら犬の血清IgE抗体と反応するFCS中のタンパク質成分を、抗犬IgE抗体を用いたイムノブロット法によって解析した。 【結果】ワクチン接種後、16頭中2頭がアナフィラキシーと考えられる呼吸器・循環器症状を起こし、14頭が顔面浮腫などの皮膚症状を起こしていた。これらアレルギー反応は、ワクチン接種後数分から20時間に認められていたが、即時型および非即時型反応のいずれを起こした場合にもワクチンおよびFCSに対するIgE抗体が検出された。FCS成分中アレルゲンのイムノブロット解析においては、ワクチン接種後アレルギー反応を起こした犬の血清IgE抗体が認識するさまざまな分子量のタンパク質が検出された。なかでも、16頭中14頭の犬の血清が約66kDaのタンパク質に対し反応していた。分子量からこのタンパク質が牛血清アルブミン(BSA)であることを疑い、精製BSAに対する血清中IgE抗体の反応性を検討したところ、16頭中4頭のみにおいて精製BSAに対するIgE抗体が検出された。 【考察】BSAその他、複数の血清タンパク質がFCS中のアレルゲンとなっていることが明らかとなった。アレルギー反応の少ないワクチンを製造するためには、ワクチン成分からのFCSおよびBSAの除去が必要であるものと考えられた。
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Research Products
(2 results)