2004 Fiscal Year Annual Research Report
X11Lファミリータンパク質による細胞内輸送機構の解析
Project/Area Number |
04J11179
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
住岡 暁夫 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | アルツハイマー病 / βアミロイド / 転写 / 核移行 / キナーゼ |
Research Abstract |
アルツハイマー病(AD)は、最も患者数の多い老人性痴呆症であるが、その発症メカニズムは未解明な点が多い。βアミロイド(Aβ)はADの発症に関わる分子と考えられているが、Aβの前駆体蛋白質として同定された分子であるAPPの機能は明らかにされていない。近年の知見より、APPの機能として、代謝過程で細胞内に放出される細胞質ドメインが核内で転写を制御するのではないかと報告されている。これらのことは、APPの生体内での機能解析、特に細胞質ドメインの解析が、AD治療薬開発においても極めて重要であることを示している。 X11 familyはこれまで、生体内でAPPの細胞質ドメインと結合し複合体を形成する、また細胞を使った実験でAPPの代謝、Aβ産生を制御することが明らかになっている。X11 familyは従来細胞質蛋白であると考えられ核内での機能は全く解析されなかったが、私は修士課程での研究でX11 familyの結合分子の解析を行い、それらの結果からX11 familyの機能として核・細胞質間のシャトリング機能を想定した。今回、私はX11 familyの一つX11L2に注目し解析を行った。その結果、生化学的分画によりX11L2が生体内では核に局在すること、分子・細胞生物学的手法により核移行・核排出を担うX11L2中の配列を明らかにした。またGal4 DNA結合ドメインをX11L2に融合させたcDNAコンストラクトを用いた実験から、大変興味深い事にX11L2が転写活性化能を有することを明らかにした。さらにkinaseへの反応性の検討から、この転写活性がMAP kinaseの制御を受けることを明らかにし、X11L2に結合する転写因子を同定することに成功した。今後X11L2の生体での機能に注目した解析を進める予定であるが、これらの知見はAPPの機能解析にあたり極めて重要であると考えられる。
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