2005 Fiscal Year Annual Research Report
日本近代における民法学の形成と展開に関する歴史的考察
Project/Area Number |
04J11251
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
辻村 亮彦 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 梅謙次郎 / 民法学 / 近代法 / フランス法学 / ローマ法 / ドイツ法学 |
Research Abstract |
本年度は、前年度に引き続き梅謙次郎のフランスでの博士論文『和解論』の分析を行い、ローマ法学の遺産が日本の近代私法学の形成に対して与えた影響について見通しを得て、その成果を法制史学会研究大会(2005年10月16日、熊本大学)にて口頭発表を行った。この報告原稿をもとに小論を公表予定である。 さらに視野を広げて、梅、富井ほか日本の初期民法学が19世紀後半のフランス民法学とどのような関係に立つのか、日本語、フランス語の文献を対照しつつ明らかにしながら、同時に法学を取り巻く日仏両国の同時代の政治的、文化的環境について主として二次文献に依拠しながら知見を広めるよう努めた。フランスの共和政と日本の目指そうとする君主政との間の齟齬を当時の日本の法学者がどのように認識していたのかを手がかりとして、日本へのフランス法学の継受(不)可能性についてさらに知見を深めていきたい。 本研究の最終的な目的は、日本においてフランス法学が最終的には体系的に継受されることなく、ドイツ法学にその道を譲ったことの歴史的意義の探求にある。そこで、日本民法学におけるドイツ法学の摂取の態様ついての認識を深めておくことも必要不可欠である。そのような観点から、いわばゴール地点からこれまでの行程を眺める作業として、戦後活躍した民法学者によるドイツ法研究についても分析を加えた。 昨年度、今年度と、いくつかの特定の時代、法学者に着目し、そのそれぞれを掘り下げ内在的に理解する作業を行ってきた。来年度は、この成果を踏まえて、もう一度総合し、全体的な見通しを得ることを試みていきたい。
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