2004 Fiscal Year Annual Research Report
トランスナショナルな市民社会による規範形成の理論的考察:重債務帳消し運動を事例に
Project/Area Number |
04J11270
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
五野井 郁夫 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | トランスナショナル / 市民社会 / 規範 / ジュビリー2000 / NGO / 民主主義 / グローバルガヴァナンス / 国際関係論 |
Research Abstract |
本研究の目的は、国際社会での規範形成においてグローバルに連携した人々やNGO、すなわち「市民社会」が果たしている役割について、(1)国際政治理論と(2)トランスナショナルな市民運動のフィールドワークを通じた事例研究の双方を架橋することで明らかにすることである。 本年度はトランスナショナルな市民社会の現状と事例研究の対象である重債務帳消しキャンペーンJubilee2000の政治過程を把握すべく、英仏各省庁や研究機関、NGOと情報交換・インタビュー調査を行った。 具体的には英国のNGO研究機関Jubilee Research Instituteや国際開発省DFIDで資料収集をした。その際、同省大臣Hilary Bennへのインタビューから、同キャンペーンが隆盛した1998年当時より英国政府はトランスナショナルな市民社会ネットワークを無視し得ない存在として認識しており、それらが政策決定に多大な影響を及ぼしていた事実が明らかになった。また、キャンペーン発祥の地であるキール大学にて創始者のMartin Dent教授を訪問し、研究者間では未開拓である同キャンペーンの発端と史的展開について新たな知見を得た。さらに仏国で同キャンペーンを担っているNGO、CCFDにて資料収集と各国NGO間ネットワークの把握に成功した。 今年度の調査研究から得られた成果の一部は論文として下記の3誌に掲載するとともに、日本国際政治学会2004年度研究大会分科会にて「トランスナショナルな市民社会による規範形成と国際協調-重債務帳消し運動を事例にして」という報告を、さらに同報告を理論的に深化させ、筑波大学比較市民社会・国家・文明特別プロジェクトのグローバルガヴァナンスと市民社会研究会で「市民社会によるグローバルな規範形成の理論と国際協調-重債務帳消しキャンペーンJubilee2000を中心に」として報告した。
|