2004 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本における西洋数学の受容、及びその中国への影響
Project/Area Number |
04J11273
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
薩 日娜 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 日本の伝統数学 / 東京数学会社 / 訳語会 |
Research Abstract |
今年度は日本の伝統数学の転換と日本における近代数学の発展及びその中国への影響を研究した。 日本伝統数学の転換を研究することで主に「錐率」の問題に取り組んだ。和算書『算用記』と『割算書』の中に錐体の体積を計算する時、1/2.96という値を使っていた。ほかの国の伝統数学書にはこの値を使っていた実例はなかった。この値を求める方法について日本人の学者は様々な推測や討論を行っていた。その中で啓発的なものがありながら不足な部分も多く存在している。私は多量の資料を調べ新たな算法を提出し、錐率1/2.96について新たな解釈を与え、この問題に趣味のある学者と共同に研究成果を中国のある大学の機関雑誌に投稿し掲載されることになった。 日本における近代数学の発展に1877年設立された「東京数学会社」を中心として明治初期数学の特徴及び明治初期科学教育の時代背景を探求した。東京数学会社が発行した機関雑誌の内容を分析し、明治初期における西洋数学が日本伝統数学に取って代わるという歴史の転換期の一端を研究した。また、東京数学会社が設置した「訳語会」の数学の術語を統一する作業は当時、そしてその後の日本数学界に重要な役割を果たしたことを考察した。日本語における数学用語の語彙は、「訳語会」の設立を際に、大幅に更新され、西洋数学を受容することを大きに促進し、中国の数学界にも影響を与えたことを究明した。 日本の近代数学の中国への影響について、20世紀の初頭日本数学の発展を考察しに来た中国人研究者と日本に留学していた中国人留学生の残した資料を研究した。中心人物として周達という人を選んで、彼に関する中国語の論文を日本語に翻訳した。また、日本人の数学史研究者である三上義夫の中国数学史・中国科学史に関する研究を考察し、関連する文章を中国語から日本語に訳し、掲載するようになった。
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