2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J11284
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山形 伸二 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 衝動性 / 人間行動遺伝学 |
Research Abstract |
衝動性は,ADHDや行為障害,物質依存などの共通の特徴として重要なパーソナリティ特徴であるが,その認知や動機付けに関するメカニズム,生物学的基礎,発達に影響を与える遺伝と環境の相互作用過程などはいまだ明らかでない.そこで本年度は,衝動性の制御に重要な役割を果たすとされている実行注意の個人差(エフォートフル・コントロール;EC)を測定する質問紙の作成と,その生物学的・遺伝的妥当性の検討を行った. ECは,非顕在的な反応を行うために顕現している反応を抑制する能力をさす.ECを測定する尺度における得点の低さは,特に青年期以前において衝動性を特徴とする外在化問題行動と関連することが数多く報告されている.そこで,まず大学生,専門学校生を対象とした質問紙調査により日本語版のEC尺度を作成してその信頼性と妥当性の検討を行った.この結果,ECは衝動性を測定する気質次元と負の関連を持ち,また実行注意の客観的指標であるストループ課題における干渉効果の大きさと負の相関を示した.このことから,日本語版EC尺度が自己認知のみならず実際の実行注意の個人差をも測定していることが示された.この研究成果は既に「パーソナリティ研究」誌に受理され,現在印刷中である. また,ECは行動抑制の制御,行動始発の制御,注意の制御という3つの機能より構成され,これらは共通の生物学的基盤を持つとされているが,この3つの機能の個人差が共通の遺伝的,生物学的メカニズムにより相関するのか,何らかの環境の影響で相関するのか実証的に検討した研究はない.そこで,双生児を対象とした質問紙調査から得られたデータに多変量遺伝分析を適用した結果,3つの下位尺度が高い遺伝的相関を有することが示され,ECの生物学的・遺伝的妥当性が確認された.この研究成果は現在"Twin Research and Human Genetics"誌に投稿中である.
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Research Products
(1 results)