2004 Fiscal Year Annual Research Report
テラヘルツ顕微鏡による量子ホール素子からのサイクロトロン発光イメージング
Project/Area Number |
04J11306
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐久間 寿人 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 量子ホール効果 / サイクロトロン発光 / スペクトロスコピー |
Research Abstract |
磁場中2次元電子系に生じた非平衡電子は再結合時にサイクロトロン発光を生じる。そこでその発光を検出することが可能なテラヘルツ顕微鏡の開発及び改良を行い、非平衡電子の空間分布を明らかにする測定を行ってきた。この手法は、これまでの伝導度測定や外部からの摂動に対しての応答からを探るという間接的なアプローチとは異なり、直接量子ホール系における電子のダイナミクスを明らかにする事が可能であるという点において画期的である。これまでに、電子の注入・抽出に伴う非平衡電子分布である"ホットスポット"の存在や、エッジに生じた非平衡電子等を明らかにする事に成功した。 さらに本研究では上に述べたような局所的なサイクロトロン発光に対する分光技術の開発及び測定を行った。伝導帯バンドの非放物線から、GaAs/AlGaAsヘテロ接合面に生じる2次元電子系はランダウ準位が等間隔ではない。それは、分光を行うことで電子のエネルギー分布を明らかにすることが可能である事を意味する。これまではその発光強度が極めて弱いことが大きな制約となっていたが、本研究おける検出器の改良によって分光測定が初めて可能となった。現在までに、ホットスポット及びエッジにおけるサイクロトロン発光スペクトルの電流依存性を測定した。エッジにおける発光は電流によらず一定のローレンチアン型のスペクトルを得られる対し、ホットスポットでは電流が増加するにつれて非対称になる、つまりより高次のランダウ準位に非平衡電子が分布していることが確認できた。これは両者の非平衡電子の生成メカニズムが異なっていることを示している。また、その結果からホットスポットにおける電子温度の見積もりを行い、50μAで約100K・300μAで200Kという結果を得た。このとき、格子温度及びバルクの2次電子元系はほぼ4.2Kであり、極めて対照的である。
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Research Products
(1 results)