2005 Fiscal Year Annual Research Report
テラヘルツ顕微鏡による量子ホール素子からのサイクロトロン発光イメージング
Project/Area Number |
04J11306
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐久間 寿人 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 量子ホール効果 / スペクトロスコピー / サイクロトロン発光 / テラヘルツ |
Research Abstract |
磁場中2次元電子系に生じた非平衡電子は再結合時にサイクロトロン発光を生じる。そこでその発光を検出することが可能なテラヘルツ顕微鏡の開発及び改良を行い、非平衡電子の空間分布を明らかにする測定を行ってきた。この手法は、これまでの伝導度測定や外部からの摂動に対しての応答からを探るという間接的なアプローチとは異なり、直接量子ホール系における電子のダイナミクスを明らかにする事が可能であるという点において画期的である。これまでに、電子の注入・抽出に伴う非平衡電子分布である"ホットスポット"の存在や、エッジに生じた非平衡電子等を明らかにする事に成功した。 さらに今年度は量子ホール効果崩壊現象に伴う非平衡電子分布に関しての研究を行い、比較的周期的な縞状の電子温度分布を実験的に示すことができた。さらにコルビノと呼ばれるホットスポットの存在しない試料や、大きさの異なる試料等での測定も行った。これらの実験の結果、この縞は電子系が熱力学的双安定状態にあることに起因すると考えられ、現在はその理論的検証を行っている。 また現在、顕微鏡の改良も行っている。これまではレンズを組み合わせた光学系を使用していたため、回折によって分解能の上限は制限されていた。そこで、近接場光を利用することで、回折限界に囚われない高分解能の顕微鏡の開発を行っている。
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Research Products
(1 results)