2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J11324
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
王 惠仁 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 中性子過剰核 / 四重極集団運動 / Recoil Shadow Method |
Research Abstract |
研究代表者は、中性子過剰な^<16>Cの第一2^+励起状態の寿命測定及び陽子非弾性散乱実験を通して、^<16>Cの四重極集団運動に中性子物質の寄与が支配的であることを明らかにした。これは、原子核の四重極集運動に陽子物質と中性子物質がほぼ同様に寄与するという従来の常識に反する実験結果である。研究代表者は2004年9月に米国で行われた国際会議(ENAM04)に出席し、ポスターセッションで^<16>Cの陽子非弾性散乱実験の結果を発表した。また、この実験結果を論文にまとめ、米国のPhysical Review C誌に投稿した。論文は現在審査中である。 ^<16>Cと同様に四重極集団運動に中性子物質の寄与が支配的であるような原子核、そしてこの不調和現象が起りうる原子核の領域を探るために、研究代表者は2004年6月に^<18>C及び^<15>Bの第一励起状態の寿命を測定した。実験は理化学研究所で入射核破砕片分離装置を用いて行われた。実験では、^<16>Cの励起状態の寿命測定のために開発されたRecoil Shadow Methodを改良し、従来の実験セットアップでは課題となった脱励起ガンマ線の角度分布の測定を可能にし、精度よく寿命を測定することに成功した。また、この実験で、励起状態の寿命が知られている幾つかの原子核を同時に測定することによって、寿命のキャリブレーションを行った。実験データの初期解析より、^<18>Cの第一励起状態の寿命が^<16>Cのそれと同じオーダーであることがわかった。この結果は陽子物質の四重極集団運動への寄与が小さいという現象が^<18>Cにも起きていることを示唆する。この初期結果を、2005年3月に行われた日本物理学会年次大会で発表した。
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