2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J11324
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
王 惠仁 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 中性子過剰核 / 四重極集団運動 / Recoil Shadow Method / 陽子非弾性散乱 |
Research Abstract |
軽い中性子過剰領域では、魔法数の変化など、異常な核構造が見出され注目を集めている。研究代表者は、中性子過剰な^<16>Cに着目し、その第一2^+励起状態の寿命測定(Physical Review Letters 誌2004年第92巻号062501頁)及び陽子非弾性散乱実験(Physical Review C 誌2006年第73巻号024610頁)により、^<16>Cの四重極集団運動に中性子物質の寄与が支配的であることを明らかにした。これは、原子核の四重極集団運動に陽子物質と中性子物質がほぼ同様に寄与するという従来の常識に反する実験結果である。研究代表者は2006年7月14日に理化学研究所で行われた「RIKEN Mini Workshop」にて両実験の結果について口頭発表を行った。 ^<16>Cと同様に四重極集団運動に中性子物質の寄与が支配的であるような原子核を探り、そしてこの不調和現象の機構を明らかにするために、^<18>Cの第一励起状態の寿命測定及び陽子非弾性散乱実験を行った。寿命測定は、^<16>Cの励起状態の寿命測定のために開発された Recoil Shadow Method を高度化することによって行った。^<18>Cの場合では、ビーム量が低下するという困難があったが、高効率NaI(Tl)γ線検出器群を用いた実験セットアップを考案してこの問題を克服した。また、今回の実験で、従来の実験では課題であった脱励起ガンマ線の角度分布依存性を取り消すことに成功し、効率よく寿命を測定することができた。データ解析により、^<18>Cの第一2^+励起状態の寿命が第一2^+励起状態のエネルギーから予測される値より4倍小さいことがわかった。この結果は陽子物質の四重極集団運動への寄与が小さいという現象が^<18>Cにも起きていることを示唆する。今後、更に陽子非弾性散乱実験のデータを解析し、中性子物質の四重極集団運動への寄与を明らかにする。
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