2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J11325
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
亀田 真吾 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 木星 / ファブリペロー干渉計 / 地上観測 / 大気光 |
Research Abstract |
2006年6月から7月にかけてアメリカ合衆国ハワイ州ハレアカラ山頂においてナトリウム大気光観測を行った。本観測では世界で初めてファブリペロー干渉計を用いて水星ナトリウム大気発光を捉えることができた。従来の分光器を用いた観測と異なり、ファブリペロー干渉計を使用することで広い観測視野が得られた。ナトリウム大気の広域分は複数の画像の合成によって得られており、観測時間の制限から分布の一部しか捉えられていなかったが、本観測により広域分布が抜け落ちなく捉えられた。水星ナトリウム大気は太陽輻射圧を受け反太陽方向に引き延ばされた尾状の形(ナトリウム尾)を成しているということは既に予想されていたが、これまでに行われた観測で得られたデータでは明らかにはなっていなかった。太陽放射圧は水星の公転軌道上の位置によって異なるため本観測ではそれが最大になる時期に観測を行い、尾状のナトリウム大気の観測に成功した。この結果から光電離の時定数が見積もられ過去の研究による予想値と誤差の範囲内で一致するということが分かった。 昨年12月に岡山天体物理観測所で行った日中の水星ナトリウム大気光観測結果の解析を行った。過去の観測結果から水星大気密度の時間変動は太陽風フラックスの時間変動に伴いスパッタリングによって地表から放出される量が変動することが原因であると推測されていたが、本研究では2005年12月の観測結果とACE衛星によって観測された太陽風フラックスの変動を比較し本観測期間中においては太陽風スパッタリングによる放出は主な過程ではなく、太陽紫外線による光脱離の方が主な放出過程である、という結論を得た。
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