2004 Fiscal Year Annual Research Report
RHICエネルギーでの原子核効果の解明とQGP相の研究
Project/Area Number |
04J11332
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
郡司 卓 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 高エネルギー重イオン衝突実験 / ALICE実験 / 遷移輻射検出器 / PHENIX実験 / J / psi粒子 |
Research Abstract |
報告者は、米国ブルックヘブン国立研究所の高エネルギー重イオン加速器(RHIC)を用いたPHENIX実験に参加し、昨年度取得された金・金原子核衝突実験のデータ解析を始めた。取得されたデータは数百テラバイトにも及ぶため、同研究所に長期滞在し、同研究所の解析センターで研究を行った。初めに各検出器の校正を行い、電子陽電子の不変質量分布を算出する事でJ/psi粒子を同定した。更に、J/psi粒子の不変生成断面積を算出するために、検出器の有効領域や稼働状況からくる検出効率を、シミュレーションを用いて評価した。この解析状況は毎週のミーティングで報告され、更に今年度の日本物理学会でも報告された。今年度購入したノートパソコンはこれらの発表原稿作成に不可欠であった。 また、報告者は高エネルギー重イオン衝突実験で使用される次世代検出器「遷移輻射検出器(TRD)」の開発に参加した。この検出器は2007年から欧州素粒子原子核研究所の大型ハドロン加速器を用いて行われるALICE実験に導入され、飛跡再構成や電子同定を行う重事な検出器である。この実験はRHIC加速器より30倍程大きなエネルギーで重イオンを衝突させるため、QGP相の実現が高確率で期待され、QGP相の特性を研究する上で非常に重要な実験である。報告者は、今年度10月に欧州素粒子原子核研究所で行われた遷移輻射検出器のテスト実験に参加し、電子陽電子の優れた同定アルゴリズムの開発を行い、J/psi粒子の同定能力に関する研究を行った。この研究はPHENIX実験におけるJ/psi粒子測定を研究する上でよい比較研究となった。また、この滞在中に遷移輻射検出に関する出版論文の最終議論が行われた。
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