2005 Fiscal Year Annual Research Report
RHICエネルギーでの原子核効果の解明とQGP相の研究
Project/Area Number |
04J11332
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
郡司 卓 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 高エネルギー重イオン実験 / PHENIX実験 / J / psi粒子 / Hadron Blind Detector |
Research Abstract |
報告者は米国ブルックヘブン国立研究所の高エネルギー重イオン加速器(RHIC)を用いたPHENIX実験に参加し、2003年度取得された金・金原子核衝突のデータ解析を引き続き行った。取得されたデータ量は数百デラバイトにも及ぶため、同研究所に長期滞在し、同研究所の解析センターで研究を行った。 今年度末までに2003年度取得された金・金原子核衝突のデータ再構成が終了し、全統計を用いての研究が可能となった。その高統計のデータを用いて、検出器の校正を再確認し、電子・陽電子を同定し、不変質量分布を算出する事で、J/psi粒子の同定を行った。 更にJ/psi粒子の不変生成断面積を算出する為に検出器の有効領域や稼動領域から来る検出効率を、シミュレーションを用いて評価した。更に、算出された不変生成断面積に対する系統誤差を評価し、この結果は、Preliminaryな結果としてPHENIX実験で了承された。この研究では、当研究室の研究者にも補助を依頼し、彼らとの協力の下で完遂された。 この結果は、日米合同で行われた物理学会で発表され、他の国際会議やワークショップでも発表された。 購入したハードディスクは、解析段階で生成され使用された様々なファイルの保存に使用されている。 また報告者は、高エネルギー重イオン実験における次世代検出器「Hadron Blind Detector (HBD)」の開発にも参加している。この検出器は、2007年度からPHENIX実験に導入され、電子・陽電子対を用いたφ、ωという低質量ベクター中間子の同定を効率よく行う検出器であり、J/psi領域のバックグランドも減少される事が期待される。本年度は、このHBDのR&Dの為に、チェンバーの開発や関連部品の購入などを行った。この研究は、当研究室の研究員の協力によって行われ、研究成果は日本物理学会で発表予定である。
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