2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J11333
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小園 誠史 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 火山噴火 / 噴火の多様性 / 気相・液相間の相対運動 / 脱ガス過程 / 火道流数値モデル / 多重定常解 / 力学的バランス / 非爆発的噴火の条件 |
Research Abstract |
火山噴火のタイプには、爆発的なものから非爆発的なものまで非常に幅広い多様性があり、その多様性が生じるメカニズムを明らかにすることは、噴火の推移の予知などにおいて重要である。本研究では、火道内のマグマの流れにおける気相・液相間の相対運動の効果によって、多様な噴火様式が生じるメカニズムを、火道流の数値モデルを用いることによって明らかにした。 溶岩ドームを形成するような珪長質マグマによる非爆発的噴火は、火道内においてマグマからガスが効率的に抜ける(脱ガスする)ことによって生じる。本研究では、気相・液相間の鉛直方向の相対運動、すなわち縦方向への脱ガス過程を考慮した一次元定常火道モデルを構築した。その結果、あるマグマ物性・地質条件のもとで、噴出率の違いによって爆発的噴火と非爆発的噴火に対応する多重定常解が存在することがわかった。また、火道内における流れの構造の一般的な特徴を調べるために、気相・液相間の相対速度や流れの圧力勾配を支配する力学的バランスを解析的に明らかにした。この力学的バランスを用いることによって、非爆発的な噴火に対応する定常解が存在する条件を特定できる、新しい無次元パラメータを解析的に導出した。このパラメータを用いることによって、縦方向の脱ガスの効果によって非爆発的噴火が生じ得るマグマ物性や地質条件を明らかにすることができる。本研究の結果、マグマの粘性が高いほど、また火道の半径が小さいほど、縦方向への脱ガスが促進されて、珪長質マグマによる非爆発的噴火が生じやすくなることがわかった。 なお、これらの研究の成果を、2004年11月にチリで開催されたIAVCEI General Assembly(国際火山学会)で発表した。
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