2005 Fiscal Year Annual Research Report
銀河の性質とその環境依存性、ならびにその時間変化(銀河・銀河団の進化)
Project/Area Number |
04J11354
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 賢幸 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 銀河 / 銀河団 / 環境効果 / 星形成 / 形態 / 大規模サーベイ |
Research Abstract |
我々はすばる望遠鏡の主焦点カメラを用いた撮像サーベイと、その後の分光フォローアップ観測で遠方銀河団の進化を調べている。現在までに、RXJ0152(z=0.83)とCL0016(z=0.55)の観測が完了した。これらのデータから、測光的赤方偏移を用いて銀河団と同じ距離にあると思われる銀河を抽出し、銀河団をとりまく大規模構造を発見した。測光的赤方偏移は誤差の大きい手法であるが、これらの大規模構造が本物であることを分光的にも確認している。 これらのデータから大規模構造に属する銀河の色・等級関係を詳細に調べたところ、z=0.83からz=0にかけて色・等級関係が出来上がってくる様子が観測的に初めて見えた。銀河の色・等級関係は明るい側、つまり重い銀河から出来上がり、時間とともに軽い銀河が色・等級関係にのってくることがわかった。これは重い銀河ほど早く星形成が止まり、軽い銀河ほど星形成が時間的に広がっていることを示唆する。さらに、この色・等級関係の形成が低密度環境ほど遅れていることがわかった。これから、銀河の星形成はより重く、より高密度環境にいる銀河ほど早く止まり、より軽く、より低密度環境にある銀河ほど遅いことを意味している。 我々はさらに分光データを用いて、銀河の星形成が止まる物理機構を調べた。赤い銀河の典型的なスペクトルを作り、その4000Åブレークの強度とHδ吸収線の強度を定量評価したところ、中・低密度環境にいる銀河のHδ吸収線は4000Åブレークに対して非常に強いことがわかった。これをモデルと比較すると、星形成が短いタイムスケールで止まったと考えると、観測を定性的に説明できることがわかった。これは星形成が銀河同士の相互作用で止まったことを示唆しているのかもしれない。 以上の結果は3本の論文になっており、多くの国内・国際研究会で発表されている。
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Research Products
(5 results)