2005 Fiscal Year Annual Research Report
系外惑星における生命存在可能性の検討:液体の水を保持できる惑星の条件
Project/Area Number |
04J11372
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
濱野 景子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 衝突による大気のはぎ取り / 揮発性元素の供給 / 衝突蒸気雲 / 隕石重爆撃期 / 衝突脱ガス / 惑星表層への水の供給 / 惑星大気量の変遷 / 惑星大気進化 |
Research Abstract |
惑星表面の温度・圧力条件は主に惑星大気によって決定されている.惑星表面に液体のH_2Oが存在する熱力学条件が満たされるには惑星大気の存在が必要不可欠である.天体衝突時に衝突地点で生成される衝突蒸気雲(衝突天体と衝突地点の惑星表面の岩石の一部が蒸気化したもの)は一般に非常に高圧であり,大気中を急速に膨張することで元々存在していた惑星大気を加速し散逸させる働きがある.一方,生成した衝突蒸気雲自信が惑星に残る場合,その揮発性成分が大気として供給される.液体のH_2Oの有無を考えるためには,この大気量に対する散逸・供給の二つの働きをそれぞれ検証し,多数の天体衝突が繰り返されたとされる隕石重爆撃期(~38Ga)の惑星大気量の変遷について明らかにする必要がある. 衝突天体には様々なサイズがあり,そのサイズによって生成される蒸気雲量は大きく異なる.また,大気圧は惑星ごとに大きく異なり(火星:10mbar;金星:90bar),大気進化を通しても大きく変化した可能性がある.そこで本研究ではCIP法を用いた二次元軸対象の流体計算コードを開発し,数値実験によって大気散逸量と蒸気雲残存量の蒸気雲質量・惑星大気圧依存性について系統的に調べ経験式を得た.この経験式と先行研究による隕石重爆撃期の衝突頻度・サイズ分布を用いて,隕石重爆撃期の火星大気量変化について考察を行った。その結果,散逸のみを考えた先行研究とは異なり,揮発性物質の供給も考えた本研究では大気の散逸と供給とが釣り合い大気圧が一定になる可能性があることがわかった.また最終的な大気圧は重爆撃期に集積する物質の総量.衝突天体中の揮発性元素の量,衝突天体のサイズ分布に強く依存することがわかった.今後は上記の考察で仮定した衝突と生成する蒸気雲との関係についてより詳細に検討するとともに,重爆撃期中の衝突による表層物質の入れ替わりなどの議論をすすめていく.
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