2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J11374
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
平松 尚志 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 重力波 / ブレーン / インフレーション |
Research Abstract |
科研費の申請時にはまだ開発中であった「Poincare座標系を用いた、5次元時空を伝播する重力波のシミュレーションプログラム」を完成させた。このコードを用いて、ブレーン上が輻射優勢宇宙(宇宙初期)となっている状況下においての、インフレーション起源の背景重力波の振る舞いについて調べた。これによると、5次元宇宙の場合、時空が5次元であることによって補正が加わる宇宙膨張の効果と、ブレーンから余剰次元空間へ逃げていくKaluza-Klein(KK)モードの励起による効果がちょうど打ち消しあい、背景重力波のスペクトルが4次元宇宙で予言されているものと殆ど同じになることが分かった。さらに、宇宙の状態方程式が輻射優勢期のものとは異なる場合、KKモードの励起にどのような影響があるかを考察した。これによると、KK modeの励起の度合いが、状態方程式に対して鈍感であることが分かった。このことは、重力波が宇宙の地平線に再突入する時刻における宇宙のエネルギースケールとKKモードの励起の度合いとの間に、何らかのユニバーサルな関係があることを示唆しており、この点については引き続き研究を続ける必要がある。 また、この研究課題と平行して、2年目の課題としてあげていた「天体起源の背景重力波」についても研究を開始している。特に、宇宙中でもっとも強力な天体現象の一つであるガンマ線バーストに着目し、それに伴う強力なニュートリノ放射から生成される重力波の検出可能性、および、背景重力波としてインフレーション起源の背景重力波の観測に与える影響について考察した(論文作成中)。
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Research Products
(1 results)