2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J11374
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
平松 尚志 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 重力波 / ブレーン / インフレーション |
Research Abstract |
ガンマ線バースト(GRB)に付随する重力波の「メモリー効果」がインフレーション起源の背景重力波(IGWB)の観測に与える影響について考察した。collapsar modelを用いて、メモリー効果の角度の依存性に関する解析公式を作り、それを基にして背景重力波のスペクトルを作成した。結果として、IGWBの観測の窓とされている0.1Hz近傍でそれを害するほどの水準に達しないことを示した(MNRAS)。 IGWBと天体起源背景重力波とを区別する手段の一つとして、背景重力波の非等方性の検出がある。本研究では、次世代スペース重力波アンテナDECIGO/BBOを用いた場合に得られるシグナルから非等方性を抽出する手法を提唱した。これを用いて、全天を調和関数展開したときのl=7までのモードに関してDECIGO/BBOの感度曲線を示した(PRD)。 Randall-Sundrumブレーンワールドではフリードマン方程式の高エネルギー補正に伴う背景重力波の振幅の増幅効果と、重力が余剰次元方向へ伝播できることに起因する減衰効果の存在が知られている。本研究では、同モデル下で背景重力波の伝播を数値的に解析し、余剰次元方向へ逃げ出す重力波の量が宇宙の状態方程式に依存しない法則に従うことを発見した。昨年度の研究で「輻射優勢期では二つの高次元効果が相殺する」という結果が得られたが、本研究により、一般には相殺しないことを示した。(PRD査読中)。 スローロールインフレーション理論では、インフラトンの量子論的揺らぎが古典的な密度揺らぎへと転化して大規模構造の種を作ると考え得られている。本研究では、Randall-Sundrumモデルにおけるインフラトンの揺らぎを古典論の範囲で数値計算し、曲率揺らぎ(密度揺らぎ)が、5次元の計量の摂動の影響によって4次元の理論の予言からずれ得ることを示した(論文作成中)。
|
Research Products
(2 results)