2005 Fiscal Year Annual Research Report
固液共存系における地震波減衰の定量的評価手法の構築
Project/Area Number |
04J11375
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤澤 和浩 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 減衰 / 地震波 / 広帯域 / 部分溶融 / 強制振動 / 縦変形 |
Research Abstract |
本研究は,地球内部で生じる地震波減衰(Q^-1)に関して,岩石と共存する流体相の体積分率,ポア形状,粘性率の寄与を明らかにし,かつ,減衰観測値の解析手法の構築をめざすものである.今年度は,強い周波数依存性を示す現象である減衰を室内実験でとらえるために,1mHz-100Hzの広帯域で試料に強制振動を印加できる独自の装置の開発を,昨年より継続して行った. 開発した装置の概要は次の通りである.負荷は積層圧電アクチュエータ(共振周波数3kHz,発生力100N)により発生させる.高さ100mmの試料(ヤング率E=3GPa)に一軸応力を周期的に加えて縦変形させる.応力(100kPa)は,アクチュエータと試料の間に組み込んだロードセル(共振周波数~10kHz,容量1kN)によって測定する.変異(~10^-6m)は,試料ヘッドに取り付けた鏡を利用し,レーザー変位計(分解能10^-8m,サンプリング50kHz)によって測定する.今回の装置における歪振幅は10^-5程度であり,クラックの開口や非線形性が生じない程度に小さく抑えることができる.減衰の大きさQ^-1は,応力と歪の位相差を用いて決定する. アクリルを試料とする予備測定において,Q^-1=0.01程度の微弱な減衰を,広帯域にわたって測定できることを確認した.複数回の測定において,Q^-1は±0.002程度の誤差で再現された.歪振幅10^-6_2×10^-5の範囲では振幅依存性は現れず,装置特性に含まれ得る非線形性は無視できることが示された.また,応力と歪の振幅比から決定されるEの分散から見積もったQE-1は,位相差から決定されたQE^-1と調和的であり,測定データの信頼性が示された.
|