Research Abstract |
近年,HIFU(High Intensity Focused Ultrasound:強力集束超音波)による非侵襲治療が注目されており,腫瘍の加熱凝固治療に関する研究開発が行われている.本研究では,集束超音波に加えて微小気泡の発熱作用を積極的に利用することによって,より侵襲性の低い治療手法を構築することを目指している.今年度は,微小気泡の発熱作用の効率的な抽出,及び体組織内での加熱凝固領域の正確な制御を目指し,in vivo実験及びin vitro実験を実施し,解析を行った. In vivo実験では,ラット及びラビットを用いて微小気泡による発熱作用の増強効果について検証した.現在超音波診断時に血管造影剤として用いられている微小気泡を肝臓に注入し,集束超音波を照射した.その結果,微小気泡の種類の違い(内部気体・気泡核・気泡径)により,患部における温度上昇及び加熱凝固体積に有意な差が生じることが確認された. In vitro実験では,微小気泡の分布する媒質内を集束超音波が伝播する際における,媒質内の温度分布について解析を行った.その結果,気泡数密度の変化に伴い,高温領域の位置・形状・体積が大きく変化することが確認された.本実験結果より,体組織内で要求される加熱凝固領域の位置・形状等に応じて,最適な気泡数密度を選択することが非常に重要であることが示された. 以上の研究成果について,In vivo実験の内容についてはinternational journalに掲載され,In vitro実験の内容については,国際学会及び国内学会で発表を行った.また,国際学会(7th International Symposium on Ultrasound Contrast Imaging)でのポスター発表において,Superb poster awardを受賞した.
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