2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J11409
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮内 雄平 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | Fluorescence / Alcohol / Single-Walled Carbon Nanotubes / Gelatin / CVD / Isotope / Chirality |
Research Abstract |
単層カーボンナノチューブ(single walled carbon nanotubes, SWNTs)の近赤外蛍光分光分析は,従来不可能であったバルク試料中の半導体SWNTsの幾何構造(カイラリティ)ごとの存在比に関する情報を直接的に観察することを可能とするものである.当然ながら,カイラリティを制御した合成を実現するためにはカイラリティ分布を測定できる必要があるため,近赤外蛍光分光は,今後のナノチューブ合成研究における強力な測定手段となることが期待される.しかしながら,ある1種類のカイラリティのナノチューブに対して蛍光分光で得られる蛍光ピークは,ナノチューブ軸に平行な偏光による励起に由来する主なピークに加えて,起源の明らかでない様々なサブピークが存在し,これらの未解明なサブピークの存在は,蛍光分析から正確なカイラリティ存在比を得るための大きな障害となっている.そこで,本研究ではカイラリティ制御に向けた第一歩として,ナノチューブの蛍光励起スペクトル(photoluminescence excitation spectrum, PLE)中に現れるそれぞれのピークの起源を実験的に解明することを目指して,炭素13同位体からなるSWNTs(SW^<13>CNTs)を作成し,PLEスペクトルにおける同位体効果からスペクトル中に現れる蛍光ピークのうち電子-フォノン散乱に起因するピークを同定した.さらに,孤立分散したままの状態でゼラチン薄膜中にSWNTsを配向させる手法を新たに開発し,配向SWNTsの偏光PLE測定により,ナノチューブ軸に垂直な偏光での励起にともなう蛍光発光を観測した.これらの結果から,従来観測されていた各サブピークを,チューブ軸に平行な偏光による励起に伴う電子-フォノン散乱によるものと,チューブ軸に垂直な偏光による励起によるものに分類することに成功した.
|