2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J11428
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
窪内 源宜 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 励起子 / 超高速分光 / 中赤外分光 / ボース凝縮 |
Research Abstract |
1s-2p遷移誘導吸収による観測法の確立を目指し、スペクトル分解能、空間分解能の更なる向上を図った。そのために差周波発生結晶AgGaS_2、中赤外領域で使用できるGeレンズ、フィルター、HgCdTe検出器、回折格子等を用いて実験に最適な光学系をつくった。そして可視光の1光子励起と近赤外光の2光子励起の場合に得られる励起子の誘導吸収スペクトルの定量評価を行った。 オルソ励起子の1光子励起(フォノンサイドバンド励起)の光強度から見積もられる励起子密度と誘導吸収強度を比較し、1s-2p遷移の振動子強度を見積もった。水素原子モデルとの比較を行ったが、亜酸化銅の励起子はcentral cell correctionのために1s励起子のボーア半径が主量子数が2より大きな励起子に比べて小さいことから、単純な水素原子模型から見積もられる値とは食い違いが見られた。 波形整形した近赤外フェムト秒パルスを用いてオルソ励起子の2光子共鳴励起により低温の励起子を生成した場合、オルソ励起子とパラ励起子の誘導吸収スペクトル幅が励起直後から見られた。スペクトル幅は励起直後から時間が経つにつれて広がっており、過冷却状態で生成された励起子が次第に温まる様子が観測された。また、2光子吸収で低温に生成した場合、1光子励起とは異なりオルソ励起子の密度が大きいほどパラ励起子がより早くにオルソ励起子から転換されることがわかった。このことは低温原子のフェッシュバッハ共鳴のように2つのオルソ励起子が準安定な励起子分子状態を経てスピンを転換し2つのパラ励起子が出来ていることを示す。
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Research Products
(2 results)