2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J11443
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野瀬 健二 東京大学, 大学院工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | cubic boron mitride / hexagonal boron nitride / in-situ doping / wide band gap |
Research Abstract |
平成18年度においては、cBN薄膜における伝導性制御の物理的背景を明らかにするため、Znドーパント濃度と膜組成の制御による伝導性の変化を調べた。具体的な成果は以下の通りである。 【1,ICP-CVD法による堆積相、組成の制御】 新規の超高真空ICP-CVD装置において、基板への高周波入力をダイナミックに制御する装置を開発した。これにより、これまで困難とされていた絶縁性基板上へのcubic相堆積を実現した。他方、ガス流量により膜組成がB/(B+N)=0.48から0.58程度まで制御可能であることが示された。こうした化学量論比を挟んだ組成比の制御は、ドーピングによる伝導性制御に必須の知見である。 【2,ドーパントZn置換サイトの同定】 上述の結果を元に、スパッタリング法での堆積においてもB : N組成比を制御することに成功した。これによりcBN中へZnの不純物順位形成が5%程度Bリッチの状態でのみ生じることを明らにした。すなわち、過剰な窒素フラックスを堆積表面に照射する条件下において、同じZn添加量の下でも高い絶縁性を有する薄膜を形成しうることが示された。伝導度の向上はZnのドープ密度に比例していたが、これと同時に膜中のNの濃度が減少することが確かめられた。以上の結果から、Nサイトに置換したZnが電気伝導性の発現に寄与していることが示唆された。これらは従来のIII-V属半導体では報告されていない現象であり、BとNの原子半径が大きく異なる(B/N=0.403/0.986Å)ことに起因しているものと推測される。 3年問にわたる本研究はas-deposited薄膜の評価に始まり、ドーピング手法の開発による伝導度制御とその物理的説明という一つの到達点を示し得た。これらは本研究申請の目標を十分に達成するものであり、広くワイドギャップ薄膜研究の発展に寄与したものと自負している。
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Research Products
(2 results)