2005 Fiscal Year Annual Research Report
河床条件の異なる固定床上の土石流の流れを統一的に扱う流動モデルの構築
Project/Area Number |
04J11447
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 拓郎 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 土石流 / 河床粗度 / 2層モデル / 桟粗度 / 底面抗力 |
Research Abstract |
土石流の流れにおけるせん断抵抗力,圧力は粒子摩擦・衝突・間隙水の乱れの3つの成分の和として示されるが,前年度提案した2層モデルでは粗度の条件により応力成分は大きく変化する.よって実際に河床部分でどのような応力成分の変化が起こっているかを知るために前年度に水路実験を行った.実験には大きさの異なる3種類の桟粗度を製作し,1つの桟を分力計に固定しその抗力を測定した.実験は勾配,流量に関して様々な条件で行い,水深,抗力の時間変化,流速分布を測定した。 さらに今年度は底面抗力とせん断力の釣り合いを確認するため,また釣り合いが生じる水深基準面の位置を明らかにするため,水路実験を再び行った.実験条件は前年度と同様で桟と桟間が1:1の受感部と桟と桟間が2:3の受感部における抗力を測定した. 以上の実験結果から以下のことが明らかになった. (1)桟と桟間が1:1の実験結果より,粗度下を水深基準面とする水深から算出したせん断力と全せん断抵抗力がほぼ釣り合っており,水深基準面をこれまでどおり粗度下にすることが妥当であることが確認された. (2)桟と桟間が1:1と2:3実験結果の比較から算出した桟部分の抗力値と,桟粗度のみで測定した前年度の抗力値はほぼ一致していて,実験が良好に行われたことが確認された. (3)全せん断抵抗力に対する桟粗度の抗力の割合(摩擦・衝突)は濃度が小さい領域では粗度が異なってもほぼ一致する.濃度の上昇に伴い抗力割合は増加するが,その傾向は粗度が大きいほど顕著なため濃度が大きいほど粗度による違いが生じる. (3)の結果は,前年度で提案した2層モデルと定性的には同様の傾向であるが,特に濃度の小さい領域でモデルと実験値の差が大きかった.これはモデルで摩擦項が過小評価,間隙水乱れ項が過大評価されていることが原因である.よって,摩擦項が降伏応力ということを考慮するように現在モデルを改善中である.
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