2005 Fiscal Year Annual Research Report
数論多様体のコホモロジー論的研究とそのラングランズ対応への応用
Project/Area Number |
04J11453
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三枝 洋一 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | エタールコホモロジー / ガロア表現 / l独立性 / リジッド空間 |
Research Abstract |
今年度は局所体上のリジッド空間のエタールコホモロジーとして得られるガロア表現についての研究を主に行った.リジッド空間とは複素解析空間の非アルキメデス類似である.Carayolは論文"Non-abelian Lubin-Tate theory"において,Lubin-Tate空間およびDrinfeld上半空間と呼ばれる2つのリジッド空間のエタールコホモロジーを通して局所Langlands対応が実現されているという予想を提出した.近年のHarris, Taylor等による局所Langlands予想の解決は,このCarayolの予想と志村多様体の数論幾何を組み合わせることによってなされている.このことからも分かる通り,リジッド空間のコホモロジー論は数論幾何において次第にその重要性を増してきている.しかし,局所体上のリジッド空間のエタールコホモロジーとして得られるGalois表現についての一般論はこれまであまり研究されてこなかったようである.今年度の研究はその第一歩となることを目標としたものである. 今年度に得た結果は次の通りである.Kを剰余体が有限である完備離散付値体とし,W_KをそのWeil群とする.K上の準コンパクトリジッド空間Xに対してコンパクト台エタールコホモロジーH^i_c(X_<K^^->,Q_l)はW_Kの表現になる.XがK上滑らかなときおよびKの標数が0であるときに,この作用の固有値がWeil数になること,作用の跡の交代和がlによらないことを証明することができた.これは局所体上のスキームについては落合氏によって証明されていた結果である.
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