2006 Fiscal Year Annual Research Report
数論多様体のコホモロジー論的研究とそのラングランズ対応への応用
Project/Area Number |
04J11453
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三枝 洋一 東京大学, 大学院数科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | リジッド空間 / l進エタールコホモロジー / Lefschetz跡公式 |
Research Abstract |
今年度はリジッド空間のl進エタールコホモロジー論について研究を行った.リジッド空間とは複素解析空間の非アルキメデス類似であり,そのエタールコホモロジーは局所ラングランズ対応への応用という観点から見て極めて重要な研究対象である. まず始めに,比較的一般のリジッド空間に対するLefschetz跡公式について研究を進めた.Lefschetz跡公式とは,代数多様体やリジッド空間などの幾何学的対象に自己射があるとき,それがコホモロジーに引き起こす自己準同型のトレースの交代和と固定点の個数を関係づけるタイプの等式である.今年度の研究により,滑らかなアフィノイド空間に対して欲しい形の跡公式を得ることができた.また,リジッド空間およびその自己射がヘンゼルスキームから来る場合にも同様な結果を得ている. 次に,この跡公式を用いて,準コンパクトとは限らないリジッド空間のコホモロジーを計算するために必要な表現論の技術について考察した.リジッド空間が準コンパクトでないとき,そのコホモロジーは一般には無限次元となるため,普通の意味でトレースをとることはできない.私は主にp進簡約群の作用を持つリジッド空間が「セル分割」を持つ場合を考察し,そのコホモロジーに現れる許容表現のHarish-Chandraの意味でのトレースと固定点の個数を関係付けることに成功した. これらの結果はRapoport-Zink空間などの興味深いリジッド空間のコホモロジーの計算に応用できることが期待される.
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