2004 Fiscal Year Annual Research Report
走査トンネル顕微鏡と赤外反射吸収分光によるステップ表面での分子の過渡的拡散の研究
Project/Area Number |
04J11464
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
塚原 規志 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ステップ / 拡散 / 表面 / 白金 / 吸着 / STM / 赤外吸収分光 |
Research Abstract |
平成16年度は、Pt(997)ステップ表面上の分子の吸着、拡散について研究を行った。現在までに、ステップのどのサイトへNOが吸着し、解離するのかという基本的な情報は、実験的には報告はされていない。我々はSTMを用いて、低温でのNO分子の吸着サイトを実験的に決定することが出来た。Pt(111)表面では、NOがhollowサイト、on-topサイトに吸着することがすでに過去の振動分光、STMの研究からわかっている。低温STMで、ステップではbridgeに吸着することを決定した。 Pt表面での拡散は、原子スケールで見ると分子のサイト間ホッピングと見なすことが出来る。そこで我々は、IRASスペクトルの時間変化を観測することで、異なるサイト間ホッピングの活性化エネルギー、頻度因子を求めた。60~80Kでは、テラスのon-topサイトから、テラスのhollowサイト又はステップのbridgeサイトへのホッピングが観測された。さらにより高温(80~100K)ではテラスのhollowサイトからエネルギー的に安定なステップのbridgeサイトへのホッピングを観測することが出来る。 これらを、反応速度が1次と仮定してホッピングのモデル、連立微分方程式を立て、hopping rateを求めた。テラスのon-topからテラスのhollow又はステップのbridgeへは、並行してホッピングが進行するという簡単な微分方程式の解で説明でき、テラスのhollowからステップへのホッピングは、Pt(997)単位格子の12個のhollowサイト、1個のbridgeサイトのそれぞれの被覆率変化を13元連立方程式で説明でき、4次のRunge-Kutta法による数値計算で解析した。Arrhenius plotすることで、活性化エネルギー、頻度因子を求めることが出来た。on-topを脱出する時は約100meVの活性化エネルギー、テラスのhollow間をホッピングする障壁、(ステップ最近接の)テラスのhollowからステップへの活性化エネルギーが共に約200meVであることが分かった。
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