2004 Fiscal Year Annual Research Report
酸化亜鉛結晶粒界に特有な電子状態の解明および酸化亜鉛単一粒界デバイスの創成
Project/Area Number |
04J11469
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 幸生 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ZnO / 粒界 / 原子・電子構造 / TEM / 第一原理計算 / バリスタ / 配位数 / 電流電圧特性 |
Research Abstract |
研究代表者は無添加ZnO粒界における原子・電子構造と電気特性の相関性について詳細に解析した。本研究では系統的な評価を行うため、粒界をはさむ2つの結晶の方位関係を任意に制御することにより原子構造を様々に変化させたZnO単一粒界を数種類作製した。作製した単一粒界について、高発解能透過型電子顕微鏡(HRTEM)法による粒界原子構造の観察および電流電圧特性の測定を行った。上記の実験的手法とあわせて粒界の安定原子構造の理論計算を行い、実験および理論の両面から粒界の詳細な原子構造を決定した。さらに決定された原子構造について第一原理法による行い粒界に特有な電子状態を求めた。 HRTEM観察および理論計算の結果、ZnO[0001]Σ7対称傾角粒界は2種類の構造ユニットの繰り返しで構成され、また、その構造ユニットの中には通常のZnO(4配位)と異なる配位数(3配位または5配位)の原子が含まれることが分かった。この2種類の粒界原子構造に対して電子状態を求めたところ、こうした配位数の異なる原子および粒界に特有な原子間結合の歪みが伝導帯下端および価電子帯上端に特徴的な電子状態を示すことが分かった。しかしながら、このような特異な電子状態はZnOのバンドギャップ内に深い非占有準位を作るものではなく、電流電圧特性にはさほど大きな影響を与えないことが示唆された。これは実際に測定されたこの粒界の電流電圧特性が通常の直線的な特性であることとよく整合しており、無添加ZnO粒界の電気特性をその原子・電子構造の観点から明らかにしたといえる。
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Research Products
(6 results)