2004 Fiscal Year Annual Research Report
マルコフ連鎖を用いた組合せ的対象のランダム生成法および数え上げ
Project/Area Number |
04J11479
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
来嶋 秀治 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | マルコフ連鎖モンテカルロ法 / パーフェクトサンプリング / 分割表 / 待ち行列ネットワーク |
Research Abstract |
2行分割表のランダム生成法として,マルコフ連鎖を用いた高速なパーフェクトサンプリング法を提案した.この問題に対する従来の研究がすべて「近似」サンプリング法であったのに対し,我々はCFTPアルゴリズムを適用した多項式時間の「厳密」サンプリング法を提案した.このアルゴリズムの期待計算時間について,理論的上限を与えた.また,計算機実験を行いこの理論的上限の算定がタイトであることを確認した. 離散化Dirichlet分布に従うサンプリング法に対して,マルコフ連鎖を用いた高速なパーフェクトサンプリング法を提案した.遺伝子情報の解析の統計学的アプローチにおいてDirichlet分布に従うサンプリングが良く用いられる.従来のアルゴリズムではパラメータの値に依存して計算効率が非常に悪くなることが知られている.この問題に対して,マルコフ連鎖を用いた計算効率の良いサンプリング法を提案した.この成果を統計関連学会連合大会で発表し,優秀報告賞を受賞した. 閉Jacksonネットワークの積形式解の正規化定数の計算に対して,マルコフ連鎖モンテカルロ法を用いた高速な近似解法を提案した.待ち行列理論において,Jacksonネットワークは基本的で重要なモデルである.Jacksonネットワークは積形式解を持ち,積形式解の正規化定数を計算することでネットワークの待ち時間に関する重要な指標が得られることが知られている.正規化定数の計算方法としてはBuzenのアルゴリズムなどがあるが,これらは擬多項式時間のアルゴリズムである.この問題に対して,我々は高速に収束するマルコフ連鎖を設計し,モンテカルロ法と組み合わせて理論的に精度の保証された近似解の得られる多項式時間アルゴリズムを提案した.この成果をNZで開催された組合せ理論の国際会議で発表し,Student Prizeを受賞した.
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Research Products
(2 results)