2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J11480
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 健一郎 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 離散凸解析 / 関数近似 / 近似アルゴリズム / M凸関数 / L凸関数 / Legendre-Fenchel変換 / 数理計画問題 / 半正定値計画問題 |
Research Abstract |
本年度は、離散凸関数による関数近似を考察するための基礎として、M凸関数およびL凸関数全体の集合の構造を調べる研究を行った。具体的には、両者の関数を生成すると考えられる数理計画問題をそれぞれ考案し、実際にM凸性およびL凸性の証明を試みた。その結果、ある特殊な場合に関しては、考案した数理計画問題がそれぞれ実際にM凸およびL凸関数になることが証明でき、かつ両者がLegendre-Fenchel変換に関して互いに共役の関係にあることも分かった。 ただし一方で一般の場合は現時点で未解決であるため研究を継続中である。考案した数理計画問題は具体例を与えて計算機実験を行うことができる。実際にM凸関数に対するものについて2変数の場合に実験を行ってみると、証明に成功した前述の場合の条件を満たさない場合でも、M凸性を示す不等式が成立していることが多くの例について数値的に確認された。このことからも、考案した数理計画問題は有効であろうと推察される。一方L凸関数に関しては、数理計画問題から生成されたものがL凸性を有しないという反例が見つかったため、L凸関数に対しては生成方法の再考が必要と思われる。尚、このことは、前述のように特殊な場合に対してはLegendre-Fenchel変換に関する共役性が成立していることと矛盾するものではない。また、任意のM凸関数およびL凸関数が考案した数理計画問題から生成されるかという問題も残されていることも付け加えておく。 考案した数理計画問題は半正定値計画問題の形であるが、計算機実験による副産物として、この問題が別のある非凸計画問題と等価であるのではないかという予想が得られた。実際、前述の特殊な場合についてはこのことは正しい。よって本研究は半正定値計画問題による緩和が実は元の問題と等価であるような場合のある程度一般的な枠組みを与えることも期待できるものと言える。
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Research Products
(1 results)