2004 Fiscal Year Annual Research Report
ディスク状多座配位子を用いた金属イオンの三次元集積化および機能性金属錯体の構築
Project/Area Number |
04J11506
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
原野 幸治 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 金属錯体 / 分子認識 / 自己集合 / 超分子化学 |
Research Abstract |
本年度は当初の研究計画に基づき、新規三次元錯体構造を構築するためのディスク状多座配位子をデザイン・合成を行った。配位部位として3-ピリジル基を導入した三座配位子(L)を合成し、種々の遷移金属イオンとの錯形成について検討した結果、アセトニトリル中において平面四配位型もしくは八面体六配位型の配位形式を有する10種類の二価遷移金属イオンと、自己集合型カプセル錯体を溶液中において定量的に形成することをNMR, Massスペクトル測定より明らかにした。また、このカプセル錯体について詳細な構造をX線結晶構造解析によって同定し、直径約3nmの正八面体型構造であること、および非常に大きな内部空間を有することを明らかにした。 また、配位子Lと水銀(II)イオンとの錯形成においては、配位子と水銀(II)イオンの比に応じてカプセル錯体、およびかご型錯体をそれぞれ定量的に生成した。さらに、配位子・水銀イオン比を制御することにより、これら二種類の錯体構造の間を定量的かつ速やかに変換可能であることを示し、自己集合型金属錯体の動的構造変換挙動についても新たな知見を得た。 今回合成されたカプセル錯体の内部空間は分子認識場、反応場として利用されることが期待されること。さらに、これまでの金属錯体型分子カプセルでは例の少ない、酸化還元応答や磁性を有する遷移金属イオンを構成要素に含むことができることから、これらの電子物性を分子認識と複合させた新規機能の創製も可能である。本研究成果は2005年3月の日本化学会春季年会において口頭発表を行い、現在学術誌への投稿に向けて準備中である。
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