2005 Fiscal Year Annual Research Report
アゾ基の光異性化を利用した配位数変化に基づく触媒反応の光スイッチ
Project/Area Number |
04J11512
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山村 正樹 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 2-ホスフィノアゾベンゼン / 分子内ホスホニウム塩 / 平衡定数 / 置換基効果 / 溶媒効果 / 共鳴効果 / アクセプター性 / 光異性化反応 |
Research Abstract |
昨年度、2-ホスフィノアゾベンゼンを合成し、この化合物が溶液中において分子内ホスホニウム塩と平衡にあることを見出し、VT^<-31>P NMRの測定により、平衡定数および熱力学パラメーターを算出することに成功した。今年度は、2-ホスフィノアゾベンゼンとホスホニウム塩との平衡に及ぼす置換基効果および溶媒効果を検討した。また、種々の置換基を有する2-ホスフィノアゾベンゼンの光異性化反応の進行を確認した。2-ヨードジフェニルヒドラジンと2級ホスフィンとのパラジウム触媒カップリング反応と引き続くヒドラジンのアゾベンゼンへの酸化反応によって、種々の置換基を有する2-ホスフィノアゾベンゼンを合成する手法を開発した。アゾベンゼンのパラ位に電子供与基が置換した場合、平衡はホスフィンに偏り、電子求引基が置換した場合は逆に、ホスホニウム塩に偏ることがわかった。この置換基効果は2-ホスフィノアゾベンゼンにおけるアゾ基と電子供与基との共鳴効果、および分子内ホスホニウム塩におけるヒドラジノ基と電子求引基との共鳴効果によって説明することができる。また、種々の溶媒中で平衡定数を算出したところ、溶媒のアクセプター性が高くなるほど平衡はホスホニウム塩に偏ることがわかった。一方、リン上の置換基効果を検討したところ、アゾベンゼンとは逆に電子供与基が置換すると平衡はホスホニウム塩に偏り、電子求引基が置換するとホスフィンに偏ることがわかった。また、種々の置換基を有する2-ホスフィノアゾベンゼンの光異性化反応を検討したところ、アゾベンゼン上に電子供与基を導入すると効率よく異性化が進行することを見出した。また、光異性化により生成したアゾベンゼンのZ体は、E体とは異なり、ホスホニウム塩と平衡に無いことを確認した。すなわち、光照射を行うことで、ホスホニウム塩の特異な反応性をスイッチすることに成功した。
|
Research Products
(1 results)