2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J11517
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
青田 新 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | マイクロチップ / 溶媒抽出 / 界面化学 / マイクロ流体工学 |
Research Abstract |
本研究では、低レイノルズ数のマイクロ平行油水向流を実現し、高回収率マイクロ向流抽出を実現した。またマイクロ油水向流中では、液液界面近傍でカオス的渦流等の特異的流れを観測した。向流中界面では速度の不一致や剪断応力の不連続等の、通常の流体力学的境界条件と異なると考えられる。そこで、マイクロ油水向流における液液界面のダイナミクスの解明とマイクロ油水向流の新規応用を目的とした。 マイクロ油水向流中液液界面近傍における特異流れは、界面に生じる力学的バランスが重要であると考えた。液液界面には、流れに起因する圧力と界面張力による圧力(ラプラス圧)が生じる。この二つの圧力の釣り合いに着目し、モデルを考案した。流れに起因する圧力はハーゲン・ポアズイユの式から、ラプラス圧はヤング・ラプラスの式から算出することができる。そこで、モデルを検討するために必要なパラメータである液液界面張力と動的接触角を実測した。マイクロ油水向流形成流量条件を検討し、得られた結果から流れに起因する圧力とラプラス圧を算出したところ、モデルと比較的よい一致が得られた。今後、液液界面形状の測定により、詳細なモデル検討ができると考えている。 マイクロ油水向流中液液界面近傍では渦流等の特異的流れが形成する。そのため、マイクロ油水向流中液液界面化学プロセスに流体力学的効果が存在する可能性がある。そこで、マイクロ向流抽出の抽出率の流速依存を検討した。流量0.1-1.0μl/minにおけるマイクロ向流抽出の金属錯体抽出率を検討したところ、分子拡散のみでは説明できない結果を得た。これは渦流等による混合促進や界面不安定による分子輸送の促進を示唆する結果である。今後、界面吸着を含む系の界面張力を顕微分光法により測定することで、マイクロ油水向流中の分子輸送が検討できる。
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