2005 Fiscal Year Annual Research Report
半導体ナノ粒子の周辺環境依存性の制御による生体センサーの開発
Project/Area Number |
04J11525
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高本 篤史 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 半導体ナノ粒子 / コロイド / 配位子 / 蛍光 / 非線形振動 / 協同現象 / 反応拡散 / モデリング |
Research Abstract |
近年、粒径制御により蛍光波長を制御できる量子サイズ効果などの優れた工学特性から半導体ナノ粒子(QD)が注目され、盛んに研究されている。その応用例として、生体内マーカー、発光ダイオードなどが考えられている。一方で励起光連続照射下でQD分散液の蛍光強度が時間振動することを見出した。蛍光振動は温度や塩などの不純物に対して非常に敏感であるために、蛍光振動のパターン変化を利用したセンサーへの応用も期待されている。時系列データ(振動パターン)に基づいたセンサーは非線形応答型センサーと呼ばれ、生体では一般的である。非線形応答型センサーでは時系列の豊富な情報量を有しているので、従来の線形応答型センサーには不可能な多種目同時測定や高感度化が期待できる。そこで、センサーへの応用を最終的な目標としている。 QDにはCdSe/ZnSコアシェル型ナノ粒子(粒径4.2nm)を実験に用いている。このQDはtri-n-octylphosphine oxide (TOPO)という分子がQD表面に吸着してQD間を立体反発させることでQD分散安定化させている。蛍光振動の発現には、QDの光照射による分散不安定性と分散液への部分的な光照射の2つの必要条件があることが実験から明らかとなった。この結果から、蛍光振動は1)TOPOの光照射による脱離過程、2)励起光照射部と非照射部間のQDの拡散による物質移動、3)既往の研究で報告されている水の光照射による吸着の3つの過程による現象であると推察している。このモデルは、励起光強度や溶媒の粘度などの操作パラメータに対する蛍光振動パターンの依存性を半定量的に再現することができる。今後は、実験と詳細に比較することでモデルを精密化する予定である。また、モデルを用いることで振動パターンの制御および設計が可能となることが期待され、センサーへの応用に生かす予定である。
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