2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J11545
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
澁口 朋之 東京大学, 大学院薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 有機分子触媒 / 不斉相関移動触媒 / 不斉マンニッヒ型反応 / ネモナプリド / 抗精神病薬 |
Research Abstract |
私は分子内に二つの認識点を有する不斉有機分子触媒の開発を行ってきた。昨年度本触媒のX線結晶構造解析の結果を基に触媒に更なる構造的チューニングを加え、より活性な触媒の開発に成功した。本年度、私はこの新たに開発した触媒を用い、グリシンシッフ塩基に対する触媒的不斉マンニッヒ型反応を開発した。また本反応を用い、抗精神病薬であるネモナプリドの触媒的不斉全合成を達成した。 新たに開発した触媒を用い、グリシンシッフ塩基に対する不斉マンニッヒ型反応に適用したところ、以前の結果に比べ8〜12%eeの向上が見られた。そこで種々求電子剤であるイミンの基質一般性の検討を行ったところ、芳香族イミンのみならず、異性化しやすい脂肪族イミンにおいても反応が進行し、高ジアステレオ選択的、良好なエナンチオ選択性にて目的のマンニッヒ付加体を与えることが分かった。本反応で得られるマンニッヒ付加体は容易にかつ選択的に保護基を除去することができ、対応するα,β-ジアミノカルボン酸へ容易に変換が可能である。そこで本反応の有用性を示すべく抗精神病薬であるネモナプリドの触媒的不斉全合成を行うこととした。 ネモナプリドは山之内製薬株式会社で開発され、現在アステラス製薬株式会社よりエミレースRとして販売されている抗精神病薬である。本化合物はラセミ体として販売されており、またその不斉合成も形式合成一例のみであった。そこで今回開発した触媒的不斉マンニッヒ型反応を鍵反応としてキラルなネモナプリドの触媒的不斉全合成を計画し、その合成を達成した。現在、更なる選択性の向上および効率的な合成ルートの開発にむけ検討を行っている。(現在論文投稿中)
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Research Products
(2 results)