2005 Fiscal Year Annual Research Report
超強酸媒体中における新規環化反応の発見と高度設計型ブレンステッド酸反応系の開発
Project/Area Number |
04J11547
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 聡 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 超強酸 / ベンズオキサジン / 高精度量子化学計算 / aci-ニトロ基 / 〔3+2〕付加環化反応 |
Research Abstract |
筆者は、3-アリール-2-ニトロプロピオン酸エステル誘導体が過剰量の超強酸(トリフルオロメタンスルホン酸)存在化で分子内環化し4H-1,2-ベンズオキサジン類を生成する反応について検討を行っている。本反応の中間体としては酸性プロトン触媒によるニトロ基α位の脱プロトン化により系中で生成する陽性aci-ニトロ基が想定される。また、反応速度に対する芳香環上置換基の置換基効果や重水素置換実験の結果から、本反応は一般的な芳香族化合物の修飾反応であるFriedel-Crafts反応(芳香族求電子置換反応)とは異なった反応機構により進行することが示唆されている。筆者は本反応の反応機構について明らかにすべく、高精度量子化学計算により検討を行った。その結果、陽性aci-ニトロ基と芳香環が関与する分子内〔3+2〕環化付加反応の遷移構造がFriedel-Crafts型反応の遷移構造と比較して低いエネルギーを有することが明らかとなった。芳香環上置換基の影響や実験化学的な背景からも、本反応の反応機構として分子内〔3+2〕環化付加反応が関与していることが示唆された。ニトロンやニトリルオキシドのオレフィンに対する双極子付加は近年多くの報告がなされているが、芳香族二重結合が関与する例はほとんど報告がなく極めて特異なものと考えられる。 また、上の反応の拡張として2-シアノ-3-フェニルプロピオン酸メチルが酸性媒体中で新規インデン誘導体を与える反応について検討を行い、その環化反応速度と反応媒体の相関から、この反応が極めて高い酸性度を要求することを見いだした。
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